「橋はなぜ落ちたのか」読了

以下、メモ
橋はなぜ落ちたのか―設計の失敗学 (朝日選書 (686))
1章:はじめに:設計は人間の最後の仕事であり、ヒューマンエラーの巣窟でもある
2章:設計概念自体の誤り>やってみなければわからないのが設計
3章:規模の限界:モデルからのscalabilityは保障されていない
4章:設計の改悪:最初の設計の際に考慮されていたことを、後人がすべて勘案して改良ができるとはかぎらない。外挿や付加はつねに可能とはかぎらない
5章:論理的なミス:ガリレオでさえ、自分の立てたモデルを徹底的に攻めなければ、その論理的誤りに気づかない。そうやってできたモデルは、狭い成功の範囲でどんどん強化されて、後人に盲目的に利用され得る。
6章:成功につながるミス:ミスは成功の範囲を明確にする、すくなくともパラメータの次元を決める。慎重さや網羅的なチェックを呼び起こす。また、大事故につながる小事故は常に観測されている。
7章:視野狭窄:設計をするとき、1つのミス、パラメータだけに注意が集中しがちである。過去に学んで、あらかじめ幅広いチェックリストを用意する必要がある。
8章:技術的判断の源泉としての失敗:過去の失敗を、チェックリストとして、成功できる範囲を観測できる軸として扱える設計者が規範的といえる。例:ジョン・ロープリング
9章:歴史の選択的利用:タコマ橋のケーススタディ:いかにしてわれわれは失敗へと導かれるか:本来は二次的だった崩壊要因がscaleして主因となる、成功の連続と慢心から経済的要求にしたがいがちになる
10章:史上に残る橋の崩落と未来の設計への警告:30年周期での崩落パターンは何を意味するか:成功の連続と、先駆者からの代替わりによるチェックリストの忘却、あたらしい素材の採用による未知の領域への挑戦、scaleが初期のチェックリストではもれていた要因を主な要因に押し上げる時期

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設計と名の付くものなら、ほとんどの分野に当てはまる話である。そして、こういう話を忘れたころに災害はやってくる。この本を「つまらない」という人たちが災害を作る。自戒。