ふと手に取ったら「置くあたわざる」本がある

1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74)をちょっと読んでいたのだが、1997年にIMFがタイやインドネシアに始まる金融危機の収拾になぜ失敗したのか、というあたりが非常に面白い。

IMFは何を間違えたか?
投資家心理としては、投資を続けるには、相手の国の経済システムが正常だという保証が欲しいだろうとIMF(というかその後ろ盾で資金供給していた米国の財務関係者)は考えた→インドネシアや韓国など、苦境に陥っている国にシステムの改善を求めた→ところが、投資家には、「改善要求」は「問題のリスト」に見えた>逆効果となって、さらに資金が引き上げられた
また、別の逆効果としては、経済システムの改善を求める人質として、システムが改善されるまで融資に待ったをかけてしまった。これはバジョットルールに反することで、その国の財政不安に対する投資家の不安を煽る結果となった。

もし、IMF金融危機に原因があると考え、それを直そうとした場合、ここに2つのダブルバインドがあるだろう。

  • 迅速に資金を融資したら、相手の国はシステム改善に対してモラルハザードを生む。資金を出し渋れば、効果は無い。
  • システム改善のポイントを明確にして「直すかどうか投資家が見てるぞ」と脅さなければ相手の国はシステム改善をしないかもしれないが、そうすると、投資家の心理を冷やすことになる。

では、どうしたらよいのか?何を諦めればよいのか?実際のところ、何ができるのか?かなり面白い。。。でも仕事しなきゃ。