エルデシュ成仏せよ

放浪の天才数学者エルデシュ

放浪の天才数学者エルデシュ


ハーディやらラマヌジャンやらの伝記などを読んでいたので、いまさらびっくりという内容ではなかったが、ひとつ感得できたことがある。
「数学は若者のものだ」
エルデシュが高齢でありながら仕事をした、その本を読んでなぜそう思うのか?それは彼の仕事のスタイルを見れば明らかなのだ。彼は他のすべてを捨てて数学を生きた。「オトナ」にはできないことだ。
政治までこなした数学者もいるではないか、と言われても、彼らが一途に数学に打ち込んだなら、オイラー並みの業績の山が築かれていた可能性もあるし、エルデシュが放浪に消費したのと同程度の「アイデアを寝かせる時間」として数学以外の仕事が必要だったのかもしれない。もしくは、近代の細分化された数学には、一人の人間が十分専門的な知識を得られる領域には十分魅力的な問題が残っていなかったのかもしれない。
そんなことを思った。