「会社はだれのものか」読了

すでに、この後に書かれた「資本主義から市民主義へ」で触れられているネタばかりなので、意外な話は無かった。(→読後の日記
本書は、「会社はこれからどうなるのか」のセールスプロモーションで行った対談を第二部として、その導入としての第一部に岩井克人氏の論文が来る構成になっている。本ができるきっかけは、ライブドアとフジのニッポン放送買収合戦だったという。対談の相手は、経済同友会代表(小林陽太郎)、原丈人糸井重里の3人。中でも、原丈人との対談は、原氏が飛ばしてて面白い。モノづくりに特化した日本の企業構造を生かして生き延びるには、ということで、物+知財、そして豊富なインフラの組み合わせで生じるニッチに生きろ、という話は説得力があるけれど、それはパラダイス鎖国を裏から見た話でもあるな、と。陶器の梱包財としてつかわれた浮世絵というメディアで日本の美術がフランスで受けたように、日本のオトナが馬鹿にしてたマンガが世界に出て行ったように、ニッチで醸成されたものが文化にまで高まって(腐って)いれば、あとでグローバルになる可能性は、あるのかもしれない。日本のケータイ「端末業界」の末路は哀れだが、ケータイ「文化」は、日本人が見捨てたときにどこかで芽を出すかもなー。
岩井氏は、この対談に味をしめたので、この後の「資本主義から市民主義へ」でも、対話の相手を求めたってことなんだろうか。