会社はこれからどうなるのか読了

会社はこれからどうなるのか

会社はこれからどうなるのか


この本、装丁が菊池信義さんでした。
自分が経済の素人であるせいもありますが、これは非常に面白い本でした。これまで読んできた岩井克人さんの著作のどれよりもとっつきやすく、そして、全体の構成も明快でした。
まぁ、結論は、、自分で考えなさい、というオチなんですけれど、考える原理はびしびしとキマッテル感じです。

以下、とりとめもないメモ(時刻付き):注意:本の内容の要約ではなくて、自分の考えをメモした部分も多い。

p.80 信任ってのが肝だ
この本で、やっと「なじめない」概念が出てきた。(それくらい、とっつきやすかった)
企業の経営者は、株主の持ち物というか、株主から委任された存在というより、会社を「信任」されてまかされている人だ、とある。

これが「会社は株主のモノ」という概念を骨抜きにするような話なのか、「法律では会社に経営者は必須だから」というだけなのか、注意してみたい。
posted at 02:42:32 on 2008-02-28 by

なーるほど、会社と経営者の間の「契約」という概念を考えた場合のことが問題になるのか!

経営者を縛るものは何か?株主からの委任、つーても、委任の内容を監視するのが「経営者」じゃだめよね。
監視の基準は倫理だという。

では、倫理の基準は?
そこに社会性ってものが入ってくる。
んんん、この手の循環パラドックスってこの人得意だな!
2008-02-28 02:48:24

信任された人たちが倫理にあふれていれば、すべて事はうまく行くんだろうか?
デフレの時やインフレのときのスパイラルみたいなことは起きないのか?
合成の誤謬とかも?
本当に?
どんどん読み進めたくなるな。
2008-02-28 02:49:42

そっかー、倫理には「期待しない」のか。
その代わりに法律なのか。
2008-02-28 02:50:30

法人実在的な会社(日本の会社:財閥)は、組織特異的な人的資産の所有者たりえる。

日本のサラリーマンが会社と運命共同体だと感じていたのは、そのスキル(人的資産)が、組織特異的なものだからだ。

組織特異的、なことは、core-competenceにも通じるので、古臭いとか、不器用とか感じて切り捨てるわけにもいかないようだ。
2008-02-28 03:27:22

上の記述はp.160のあたり
2008-02-28 03:27:46

外部化できるスキル、組織特異的なスキル
オープンソースとかの意味は、この本を読みおえてから、もう一度考えて見るのがいいかもしれない。
2008-02-28 03:46:50

p.205 差異から利潤を生み出す。
熱力学の第2法則
2008-02-28 15:04:45

p.208ポスト産業資本主義
産業資本主義は、労働コストの安い農村出身者を使って、差異を搾取してきた。
ところが、農村が枯渇したら、、
差異をinnovatinするしかなくなった。
2008-02-28 15:49:46

差異=情報と考えれば、情報の商品化(情報、差異の創造)というのは、究極のポスト産業資本主義の形態といえる。
2008-02-28 15:51:39

産業資本主義の残滓は、国外の安い労働力をもとめてグローバル化した。もしくは、販路を海外にもとめてグローバル化した。
金融の高度化は、金(生産の資産)は、ただ持っているだけではダメで、工夫が必要になったからだ。金に差異をつけないといけなくなった。差異が派生(derivative)した。
2008-02-28 15:55:00

差異がないとお金も力がない。
お金の支配力の低下が、ポスト産業資本主義の現実である。
[IMHO]さて、差異はいつまでも生み出せるものだろうか?予測はできない。innovationだから。
2008-02-28 15:57:20

なんつーか、この本を読むのは「スーパーエンジニアへの道」以来の目ウロコ状態だな。
すでに2冊、岩井克人の本を読んでいるのに、このざまである。
すごく興奮するね。この展開。
経済というものを、これほど簡明にしてくれた、、「数学、その形式と機能」みたいな快刀乱麻ぶりだ!!!!
2008-02-28 16:02:20

p.228
第二次産業革命で、core competenceのある企業が内蔵していたのは組織特異的な人的資産=スキルという話が始まる。
2008-02-28 16:04:50

core competanceという言葉自体が、まねできない強さ、、移植不可能なノウハウ、、つまり組織特異である、ということになる。
では、open sourceは?という俺の問いはどうなっていくのか?(結局、特定のケースについての例示はないのだが)
2008-02-28 16:05:57

日本型会社は組織特異な人的資産centricなもので、それは後期産業革命以後の産業資本主義にフィットしていた。
2008-02-28 16:11:48

日本的株式会社:それ自体がヒトである実在的法人
株式相互持合いによって、他人からの所有、支配から逃れたヒト、法人
株主によるホールドアップのリスクを廃して、終身雇用制や年功賃金性や企業別(特異)組合などを通じてノウハウ蓄積のインセンティブを用意した。
で、組織特異的だと、どうしてポスト産業資本主義に乗り遅れるのか?
<グローバル化と金融自由化によって、絶対的なスピード、利益率による評価を免れ得ないから。
2008-02-28 16:15:08

ポスト産業資本主義では、金=資産(機械)を持っているだけじゃダメ。
差異を持っていることが必要だが、恒久的に差異を保持することは困難なので、差異を常に作り出す努力を利益に変えている。
法人が労働して、利潤を生み出す?
法人の労働が搾取される?
2008-02-28 16:17:17

何が確実に言えるか?
→支配的な、模範的な、だれがやっても儲かる、という企業形態は、存在しなくなる。
(優れた)only oneしか生き残れない。
2008-02-28 16:18:30

ポスト産業資本主義社会では、

  • 標準化が(オープン・アーキテクチャ
  • グローバルに(情報ハイウェイに乗って)

起きる。
2008-02-28 16:21:45

p.239
ここに矛盾がある。
標準化の流れの中で、差異を創造しなくてはならない。
たとえば、open sourceの環境で、差異を創造しなくてはならない。
差異の源泉をITに求めても、それはもうあまねく存在している。

さあどうするか?
2008-02-28 16:22:55

差異を作り出し、それをすばやく広める。
あったりまえのことですが、それができる人って、限られている。
[IMHO]それ以外は奴隷になるしかない、のが、ポスト産業資本主義社会かも。
2008-02-28 16:25:08