ヴェニスの商人の資本論読了

経済学をまじめに勉強したことある人には、あまりにも細切れすぎて食い足りないだろうけれど、自分にはちょうどぴったりな分量だった。わけがわかんなくなって眠くなるころに、1つの文章が終わる、というリズムもよし(笑。
こんどこそちゃんと貨幣論 (ちくま学芸文庫)を読めるといいんだけど、、この人の文章は「わかるひとだけついてきてね、あんまり噛んで含めるような書き方すると、余韻ってものがなくなっちゃうじゃないか!」という雰囲気ありありで、なんとなく小林秀雄を連想してしまった。もちろん小林秀雄なんてろくに読んではいませんが(汗
ところで、この本が出たころは、新古典派とかマルクスの経済学とか、宗派があったみたいですが、いまでもそうなんですかね。まぁ、世界には経済体制が複数あったし、それらの御用学派という意味ではいくらあってもいいのか、とも思いますが、その点でも生態学との共通点を感じた。
肝心の資本主義とか、貨幣についての理解が深まったか、というと、かなり疑問で、結局は「そういうふうにできている」という理解というか許容をするしかないのかも<ぉぃ
不均衡動学(dynamisum?)については、為替相場の動きとかに翻弄されている今読むとあまりに当たり前ですが、そういう本をベルリンの壁があった時代に書くことは本当にすごいことだと、これは素直に感心しました。
そして、自然科学畑の弊害もひとつ。均衡の発見は、それへの自動的な調節機構を仮定しちゃうという性向はたしかにあるかも。結局、経済学における均衡というのは、質量の存在しない、静的なユークリッド空間みたいなもので、現実に質量が存在する一般相対論的空間というか宇宙は、膨張するか、最終的に収縮・自壊するかという不均衡の性質を持つってのは、おもしろいアナロジーというか、そういう理解に到達できてすっきりしました。神の見えざる手は、見えないゆえに存在もしなかった。そして、Sayの法則はアインシュタインの宇宙項みたいなもんかと(笑